不動産投資における損益分岐点(損益分岐稼働率)の考え方とは?

これから不動産投資を始めたいという人は、「損益分岐点」、特に不動産投資においては「損益分岐稼働率」について知っておく必要があります。せっかく資金をつぎ込んで不動産投資をしても、上手に運用して利益を出せなければ意味がありません。

しっかり利益を出すためにも「損益分岐稼働率」はどれほどなのかを把握しておくことは非常に大切なことです。今回は、不動産投資における損益分岐稼働率について紹介していきます。

不動産投資をする場合、損益分岐稼働率を把握しておくことは非常に大切です。この知識がないまま資産運用を始めると、大きな失敗に繋がってしまいます。
逆に損益分岐稼働率を知っておくことで、リスクを回避することが出来ます。では、不動産投資における損益分岐稼働率とはどうやって計算するのでしょうか。以下の項では、その仕組みや計算方法について解説していきます。

不動産投資における損益分岐稼働率

一般的に、売上が費用より高ければ「黒字」に、逆に売上より費用が高ければ「赤字」になりますが、不動産投資では、いかに稼働率を上げるかで得られる利益が大きく変わってきます。

損益分岐点・損益分岐稼働率の計算方法

損益分岐点の計算方法はそれほど難しくありません。計算式は以下のようにシンプルです。

損益分岐点 = 固定費 ÷ {1―変動費率(=変動費÷売上高)}

ただ、不動産投資においては変動費の性質を有する費用はあまりなく、ほぼ全てが固定費と言えます。そのため、売上高でどこまで固定費を回収できるか?がポイントになってきます。
その際に重要となる指標が、「損益分岐稼働率」です。特定の期間に渡って、何%の稼働率を達成すればキャッシュ・フローがプラスになるかを考えます。

計算式は以下の通りです。

損益分岐稼働率 = (アパート経営の諸経費+ローン返済額―物件売却価格)÷ 満室経営想定時の家賃収入

損益分岐稼働率を例題で解説

では、いくつか例を見ながら損益分岐稼働率について見ていきましょう。少し計算式を分解して分かりやすく説明します。まずは、前提条件です。

<前提条件>

  • マンション価格:3,000万円
  • 借入金:3,000万円
  • 金利:1.7%
  • 返済期間:35年
  • 毎月の返済額:約95,000円
  • 表面利回り:4%
  • 賃貸収入:10万円/月(120万円/年)
  • 購入時の諸費用:100万円
  • 年間経費:20万円/年(管理費、修繕積立金、税金等)
  • 10年後のマンション価格下落率:10%
  • 20年後のマンション価格下落率:20%

最初に、不動産投資を開始してから10年間での損益分岐稼働率を見ていきます。

物件売却後の時点(10年後)までの固定費

まず、住宅ローンの返済額も含めた10年間の支出総額(全て固定費とみなします)を見ていきましょう。

  • 返済額95,000円×12ヶ月×10年間=1,140万円
  • 購入時経費=100万円
  • 年間経費:200万円

1,140万円+100万円+200万円=1,440万円となります。

10年後の物件売却価格

3,000万円ー(3,000万円×10%)=2,700万円 となります。

10年後のローンの一括返済額

設定条件の借入額と金利で計算すると、物件売却の残債は約2,317万円です。

1,440万円+ローン残債2,317万円-2,700万円=1,057万円

これが、10年間の総支出になります。

物件売却後の時点(10年後)までの満室経営想定時の家賃収入

つぎに10年間の満室経営想定時の家賃収入を見ていきましょう。

家賃収入120万円/年×10年間=1,200万円

10年後の損益分岐稼働率

10年間の総支出が1,057万円ですから、これを満室経営想定時の10年間の家賃収入で割ると

総支出1,057万円 ÷ 家賃収入1,200万円 ≒ 88%

つまり、10年間の稼働率が88%を超えていれば、手元にお金が残ることとなります。これが、「損益分岐稼働率」の計算方法です。

20年後の損益分岐点

同じ条件で20年後の損益分岐点を見てみましょう。先ほどの例の数値のほとんどが2倍になります。

  1. 購入時諸費用=100万円
  2. ローンの返済20年間=2,280万円
  3. 20年間の経費=400万円
  4. ローン残債=1,506万円
  5. 物件売却価格=2,400万円

支出合計=①+②+③+④-⑤=1,886万円

満室経営想定時の家賃収入=2,400万円

1,886万円 ÷ 2,400万円 ≒ 79%

10年間の運用と20年間の運用を単純に比較すると、長く運用していた方が、損益分岐稼働率は下がります。ただし、20年の間には、物件の老朽化による修繕や空室リスクなど稼働率のリスクも考えると、一概にどちらが良いとは言えない部分もあります。

キャピタルゲイン・インカムゲインの税率

インカムゲイン(家賃収入=不動産所得)
個人の給与所得や不動産所得を合計した所得にかかる所得税率によって異なります。
5%∼45%

キャピタルゲイン(物件売却による利益=譲渡所得)

売却する年の1月1日時点でのその物件の保有期間で税率が違います。
5年以下:39.63%(所得税等30.63%%+住民税9%)
5年超 :20.315%(所得税等15.315%+住民税5%)

まとめ

今回は、不動産投資の損益分岐点=損益分岐稼働率について解説してきました。不動産投資は比較的始めやすい投資と言われています。
しかし、空室リスクや急な修繕、また周辺環境による資産価値の低下といったリスクもあります。

しかし、損益分岐点=損益分岐稼働率をしっかり計算してキャッシュ・フローを意識して運用することで、安定したリターンを得ることができます。

この記事を参考に、損益分岐稼働率を意識した計画的な運用で高いリターンを目指して下さい。

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