
住宅を購入する場合、多くの人は住宅ローンを利用するのではないでしょうか。不動産投資のワンルームマンションも同様に、長期に渡って返済している人が殆どです。
その住宅ローンの負担を軽減するのが「繰り上げ返済」です。この繰り上げ返済を使うことで、毎月の返済額を少なくしたり、返済期間を短くしたりすることが可能です。そのため元金利息が減り投資効果を上げる効果があるのです。
この記事では、繰り上げ返済の仕組みとメリット・デメリットについて紹介していきます。
繰り上げ返済とは
繰り上げ返済とは、毎月返済しているローンの元金の一部、または全部を余剰資金で返済する方法です。一般的には、バランスシートと今後の資産価値を考えながら行ないます。
これによって、その分の借入元本に係る支払利息を減らすことが出来ますので、当初の返済予定金額を減らすことで、完済を早めることが出来たり、毎月の返済額を減らしたりすることが出来ます。
繰り上げ返済には二つのタイプがあり、返済の期間を短くする「期間短縮型」と、毎月の返済額を少なくする「返済額軽減型」があります。
以下では、それぞれの仕組みと、メリット・デメリットについて、以下のポイントを詳しく紹介していきます。
▽繰り上げ返済のメリット
- 金利変動リスクを回避できる
- 毎月の返済金額が少なくなる(返済額軽減型)
- 期間の短縮で金利の支払総額を抑えられる(期間短縮型)
- 返済期間が短くできる
- 早く返済することで、毎月の資金収支を早期に改善することができる
▽繰り上げ返済の主なデメリット
- ライフスタイルの変化に対応できない
- 災害などで発生した急な修繕に対応できない
- 投資チャンスを逃しやすい
期間短縮型の繰り上げ返済
期間短縮型とは、毎月の返済額は変えずに、余裕資金で一定期間分の返済を行ない、返済期間を短くする方法です。
住宅ローン期間の一部分を返済することで、その部分にかかる支払利息を減らす効果があり、投資全体の期間における利益を多く確保することが可能になります。
返済額軽減型の繰り上げ返済
住宅ローンを利用する多くの人は、毎月の返済額が一定の元利均等方式を選ぶケースがほとんどです。
ワンルームマンションなどの不動産投資では、毎月の返済額を出来るだけ少なくすることで、毎月の資金収支を改善する効果も期待できます。
返済額軽減型の繰り上げ返済のメリット
繰り上げ返済をすると、その返済額は借入元本に充当されます。借入元本に対して利息は掛かってくるので、元本が少なくなれば金利変動のリスクにさらされている部分を減らすことが出来ます。
変動金利でローンを組んでいる場合は繰り上げ返済をすることで、金利が上昇する心配から少しでも解放されることができます。
利息が少なくなる
繰り上げ返済の最も大きなメリットは、利息を軽減できることです。借り入れの金額が大きい不動産投資用ローンでは、元金を減らすことで返済総額を大きく軽減出来ます。
一般的には、返済期間軽減型よりも期間短縮型の方が、この効果が有利に働くと言われています。
繰り上げ返済のデメリット
繰り上げ返済のデメリットは、まとまった資金を支出してしまうことで、子供の進学や出産などのライフスタイルの変化に対応できない点です。また、いざという時の対応や投資チャンスを逃してしまうことが挙げられます。例えば投資物件の急な修繕に対応できない、手元資金がなく、新規の魅力的な投資案件に投資するためのお金がなく、諦めざるを得なくなるといったようなケースです。
繰り上げ返済のシミュレーション
では、繰り上げ返済で、どのくらいのメリットがあるのかをシミュレーションしてみましょう。
<前提条件>
- 当初借入元金:30,000,000 円
- 当初借入期間:35年0ヶ月
- 返済ずみ期間:1年0ヶ月
- 返済方法:元利均等返済
- 借入金利 :2%
- 繰り上げ返済額:10,000,000 円
1.期間短縮型
繰り上げ返済しない場合 | 繰り上げ返済した場合 | |
---|---|---|
毎月返済 | 99,378円 | 99,378円 |
返済総額 | 41,739,109円 | 34,707,029円 |
残存返済期間 | 34年 | 20年9ヶ月 |
返済総額=7,032,080円減少
2.返済額軽減型
繰り上げ返済しない場合 | 繰り上げ返済した場合 | |
---|---|---|
毎月返済 | 99,378円 | 65,520円 |
返済総額 | 41,739,109円 | 37,958,743円 |
残存返済期間 | 34年 | 34年 |
=総返済額は3,780,366円減少
上記のシミュレーションのように、期間短縮型の方が返済額軽減型に比べ320万円以上の返済額軽減効果が出ることが分かりました。
しかし、返済額軽減型は毎月の返済が楽であること、また、まとまった資金が残せることで投資チャンスに備えるというメリットがあることも忘れないで下さい。
まとめ
今回は、マンションなどの不動産投資における、繰り上げ返済について紹介してきました。ワンルームマンションのような、比較的手頃な価格帯の物件であっても、不動産投資の借入額は大きな金額になります。
そのため、余裕資金ができたら繰り上げ返済を検討するといいでしょう。返済の負担も減り投資にも力を入れやすくなるはずです。
ここで紹介した「期間短縮型」や「返済額軽減型」には、それぞれのメリット・デメリットがありました。自己資本や投資物件の相場などを基準に使い分けていくといいでしょう。
この記事を参考に、繰り上げ返済を使った賢い不動産投資で、大きなリターンを目指して下さい。